飼い主さんの乱読日記

趣味、勉強のために読んだ本の感想とも言えないものを書き連ねています

「細野真宏の経済のニュースがよくわかる本(銀行・郵貯・生命保険編)」

「細野真宏の経済のニュースがよくわかる本(銀行・郵貯・生命保険編)」

細野真宏 小学館

 

細野真宏さんの経済のニュースがよくわかる本を、【日本経済編】、【世界経済編】から、この【銀行・郵貯・生命保険編】を読んできて感じたことは、このシリーズは経済の基本図書と言って過言はないものだということです。このシリーズに共通する「結論だけを教えるのではなく、そこへたどり着く過程を丁寧に説明している」という点が、最大の売りであろうと思います。私がシステム・エンジニアであることも影響してかもしれませんが、スッキリとしたロジック(ストーリーと言っていいかもしれません)で説明されると非常に心地よく感じるんですよね(笑)。受験でもそうですが、結論だけ教えられて、ただそれを暗記するということは無味乾燥で面白みがない作業となってしまします。人間であるなら、物事はただ暗記するのではなく、筋道を理解する過程を伴ったものであってほしいです。(ただ、暗唱から始まる理解というやり方を否定するものではありません。)

 

この本のおすすめポイントを二点あげさせていただきます。

 

一点目は、本のカバーの推薦文にも書いてあることですが、「なぜ、金利が上がると国債の値段が下がるのか」という点が、丁寧に順を追って説明されていることです。他の金融入門書では、事実として書かれていただけで、「そういうものなのかな」と思うしかありませんでした。しかし、この本では、金利が上がると利率が固定された国債を持っていることは、その所有者にとっては、相対的に損な状況であることが説明されており、納得できます。

 

話は脱線しますが、通常、「易しい」とか、「わかりやすい」と標榜する本では、図やイラストが多用されています。しかし、そのイラストなどは理解を助けてくれるわけではなく、なんとなく分かった気にさせてくれるだけのものが多い気がします。ですが、細野さんの本では、イラストがちょっと幼稚で拒否反応を起こす方もいると思いますが、文章だけで説明されるより確実に理解度をあげてくれます。思考能力のシャープな方は、図やイラストの使い方もうまいのかもしれません。(ちなみにIT業界では、図を使ってうまく説明できない人は、残念な人であるとの烙印をおされてしまいます。怖いですね。)

 

もう一つのポイントは、生命保険についての説明です。よくわからずに生命保険に加入してしまっている社会人の方も多いと思いますが(私もそうです)、仕組みから言うと、

  • 死亡保険
  • 生存保険
  • 生死混合保険

の三種類に分類できます。言い方を変えると、これしかないです。これらについての、メリット/デメリットについての説明を読むと複雑そうに思える生命保険も非常にシンプルなものであることがわかります。読者は、この原理・原則を踏まえたうえで、自分に必要な保険を選択していくことが可能となります。それは、まだ生命保険に加入していない方だけではなく、すでに生命保険に加入してしまっている方でも、ライフ・スタイルが多様化している現在の状況を勘案すると、保険の見直しに役立つのではないでしょうか?(要は、無駄なことはやめましょう。私も含めて。(笑))

 

最後に、この本が書かれた頃には、【日本の財政問題アメリカ・ヨーロッパ・中国経済編】を執筆する構想があったようですが、2018年11月現在、出版されていません。できたら、これも読んでみたかったなと痛烈に思います。

 

このシリーズ全体を読んだ感想としては、「物事を理解するということはどういうことなのか」ということを実例を挙げて説明してもらえたもと思います。今後、新しいことを学ぶ際には、「このように一歩一歩筋道を追って理解すべきである」という宿題をもらったと言えます。本を読むことは、こういうことなのかもしれません。答えをもらうこともあれば、宿題をだされることもあると。